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2021.1.28 化合物データの管理方法
1月下旬となり、卒論や修論の追い込み時期だと思います。これまでの経験上、序論や本論は比較的書きやすいですが、実験項のセクションになると律速になると思います。最悪なのは、化合物データを取っていない、そのため化合物を再合成しなきゃいけないこともよくあります。
また同じ教員が指導していても、学生によっては化合物データの書き方やフォーマットが異なることも。特に論文にするときに困るのは、学生が書いたものデータの形式が合わず不格好で全て書き直さなきゃいけないことです。
私が前所属にいたとき、このようなケースは多々ありました。また学生さんよっては、実験番号で全てのデータが紐付けされておらず、NMRのファイル名が desired product とかbyproductという追跡不能な最悪な名前で保存されており、学生が卒業した後にデータの場所が追跡できないこともありました。
そこで少なくとも私が指導している学生の化合物データの管理方法を統一するために、下記のルールを作りました。
1. 一化合物につき、クリアファイルを1つ用意する。
2. 化合物データカードを作成し、1枚目と2枚目を両面印刷する。
ファイルはこちら→docxファイル、pdfファイル
3. データカード、NMR, IR, ハイマス、旋光度などの印刷データ(紙)をクリアファイルに入れる。
4. クリアファイル(20ファイル程度)をまとめて紙のケースファイルに入れて管理。
5. 編集可能な化合物データカードのファイルとNMRなどの測定生データは、DVDに焼いて、4のケースファイルに同封。
2の化合物データカードには、データの記入例をあらかじめ記載しています。またチェックリスト、教員のチェック欄が記載されていて、この化合物データカードの指示に従って、学生が入力してくれれば、統一したフォーマットになるように工夫しています。1枚目の教員のチェック欄は、ちゃんと帰属が合っていればハンコを押すようにしています(教員のチェックを通ったデータなのか、学生の帰属したままのデータなのか一目瞭然)。
このルールを徹底してからは、データの管理は楽になりました。また論文のSupporting Informationを作成するときは、この化合物データカードのWordファイルをコピペするだけで簡単にSI作成できます。また論文が出版されたら、4の紙のケースファイルの背表紙に、論文名とジャーナル名、ページ番号をテプラで印刷して貼り付けています。
今回、化合物データカードのdocxファイルとpdfファイルを公開しますので、ご自由にお使いください(改変可)。
ご参考までに。
2021.1.15 NMR解析ソフトの購入
うちの大学に設置しているNMRはJEOLの400 MHzの機器ですが、これまでは無料利用できるDeltaを使用していました。ただし、Mac OS catalinaになってからはDeltaが思うように動作しなくなりました(最近、動作対応するようになりましたが動作が不安定みたいです)。
そこでMac OSでも使えるMnovaの解析ソフトを購入しました。海外では有名なソフトみたいです。日本にも代理店があり、ソフトの日本語化とサポートがしっかりしているようですが、私は直接WEB購入しました。購入したのは、Mnova Suite Chemistといういろいろなデータ解析プラグインが搭載されたものです。NMR解析だけでよいのであれば、NMRのプラグインを購入すればNMR解析ができます。必要に応じてその都度、プラグインを追加で購入できる拡張性の高いソフトですが、コンボと言われる様々なプラグインが事前に入っているプランですと、個別でプラグインを揃えるよりも格安になります。
Suite ChemistはNMR, MS, IR、定量解析、構造確認など様々なプラグインが入ったものです。Mnovaを使い始めてまだ数週間ですが、Deltaにはないいろいろな機能が搭載されています。特にオススメなのが、自動解析で、ボタン一つでNMRのピックピック、積分値設定、重溶媒の残存ピークの設定を自動でしてくれます。またNMR Verifyというプラグインは、構造式情報と各種NMRデータ(1H, 13C, dept, 二次元NMR)を照合して、どれだけ推定構造とNMRがフィットしているかスコア付けしてくれます。私の場合は、NMR Verifyをデモで使って、ジアステレオマーを解析にかけたところ、ぴったりと照合してくれました。その精度の高さに感心し、購入を決断しました。新規化合物を合成する場合は、このプラグインはかなり役立つと思います。
初めてこのソフトを使う場合は、色々と戸惑うことがありますが、幸いにして様々な動画が公開されていますので、徐々に慣れてくると思います。
YouTubeに沢山操作法がアップされています。
Mnovaのチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCf3MVnd3XZflv0acvTv14ww
リアクトのチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCYUGp8WD3GT9C6o2dG9TopQ
Mestre NovaでNMRを解析してみよう(ケムステの記事)
https://www.chem-station.com/blog/2019/07/mestre-nova.html
2021.1.5 明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
大学としては7日から仕事始めですが、年末年始は十分休養をしましたので今日から仕事に復帰しました。今年の目標は、前職での仕事をさっさと片付けて(全て論文化)して、早く岐阜医療科学大学の仕事で、単著の論文を出すことにしたいと思います。
1月は早速忙しくなる気配ですが、まずは健康を第一にして、こつこつ目の前の仕事をこなしていければと思います。また本ホームページでもいろいろな情報発信をしていければと思います。
よろしくお願いいたします。
萬代