ブログ

2024.11.14 高圧反応器のメンテナンスに潜む落とし穴 ― 錆取り後のガス漏れ発生、その原因は?

ある日、実験用の高圧反応器(オートクレーブ)のメンテナンスでちょっとしたハプニングが発生しました。学生が「SUS製の反応器が錆びている」と報告してきたので、錆取りのために分解洗浄を実施。反応器を全て分解し、錆を除去した後は、洗剤「コンタミノンUS」を使って超音波洗浄機で入念に洗浄しました。

問題はその後。再度組み立ててガスを封入してみると、なんと5本中3本の反応器からガス漏れが発生してしまったのです。ナットを締め直し、パッキンの状態も確認しましたが改善せず…。調べた結果、ガス漏れの原因はどうやら安全弁部分(写真の赤丸部分)にあるようでした。

メーカーとも協力し原因を追求したところ、「安全弁を超音波洗浄機で洗浄したこと」がどうやら問題だった模様。金属製だから大丈夫と思い込みましたが、超音波洗浄の振動が安全弁に微細な影響を与えていた可能性があるとのことです。安全弁は分解できるため、改めて内部を確認してみますが、今後はこの経験を踏まえ、部品ごとに適切なメンテナンス方法を慎重に選ぶ必要があると感じました。

続報があり次第、皆さんに共有していきたいと思います。

2024.11.7 III期とIV期の間

今週と来週が5年生の実務実習III期とIV期の間となっています。一時的に大学に来ることになっており、3ヶ月ぶりに顔を合わせることになります。うちの大学としては初めての実務実習でしたが、みんな順調に実習を終えて充実した実習だったことがうかがえます。

さて、4年生にとってはCBT本試験が2ヶ月後となりました。授業の合間に実験をやってもらいましたが、やはり練習実験だけしかできませんでした。4年生の講義に加えて、CBT対策模試の補講など、思った以上に時間をそっちに取られてしまいます。それぞれの学生に研究テーマを与えていますが、その進捗は残念ながら0です。薬学部あるあるだと思いますが、想像以上に研究ができないというのが薬学部にきて分かりました。

研究のやり方を根本的に変えないといけないんですかね。。。それとも研究ができるところに移るのか。。。悩ましいところです。

2024.10.24 10月

10月もあっという間に過ぎようとしています。この一ヶ月で、すでに1年生の実習4回(全10コマ)が終わりました。あと通常の講義も週2コマ(有機化学IとIV)も受け持っています。ちょうど5年生がIII期の実習中ですので、講義の合間を縫って病院訪問と薬局訪問を3件(合計260km走破)こなしています。今日は高校訪問2件(合計170km走破)やってきました。大学に戻ってから実験もやっています。そして来週は多治見の病院訪問。。。毎週どこかに出張に行っている状況です。

2024.9.19 北大での生活

ICReDDでの生活も半分が過ぎようとしています。

初日から数日間は計算の作法を学ぶ日々で、今週からはいろいろと自分で考えながら計算を投げることが出来つつあります。飲み会もちょくちょくありました。

2024.8.22 お盆明け、みんな居なくなりました

ご無沙汰しております。お盆休みが空け、今週から社会復帰をしております。

19日(月)からは研究室の5年生全員が実務実習に行きました。私が研究指導している学生2名も薬局実習と病院実習で2月まで戻ってきません。これまで研究をやってきたのですが、この実習のおかげで実験手技を忘れてしまわないか心配です。

お盆休み中、某大学H氏から久々のメールをもらいました。私のブログを見てくれていたみたいで、中圧クロマトに関する相談でした。システムの組み方をアドバイスをする中で、参考のために私が一番最初に買った中圧クロマト(手動)の写真も送りました。実はこの機種、大学教員になりたての時に獲得した研究費で初めて買った機器なんです。今は全く動かしていませんが、多分動くと思いますし、何かに使えるかと思っているので、念のためにまだ保管してあります。

2024.7.31 忙しい4年薬学生

先週、前所属の同僚で現在は東海地方で大学教員をやっている某Kさんと某Mさんと名駅近くのビアガーデンに行ってきました。岡山にいたときは数ヶ月に一回は一緒に飲んでいたのですが、こちらに来てからはなかなか3人が集まる機会もなく、久々の再会でした。いやーみんな苦労してますね。。。次回は12月に開催ということで、飲み会の終わりにさっさと次の開催月と幹事をその場で決めることが定期的に飲み会を開催する秘訣ですね。

さて、うちの大学では1年生のときから手厚い薬学教育をやっている訳ですが、4年生になるとさらに過密なスケジュールになります。4月から7月まで基本週1回2コマはCBT対策講座(各教員持ち回り)があります。その対策講座のあいまあいまに5-7月に薬ゼミの模試を3回受け、7月末には薬ゼミ講師による補講4コマ/1日×5日間を受講します。そしてCBT体験受験に突入します。この間、普通に講義と定期テストもあります。

夏休みは夏季補講。各分野の教員がテーマ(学生が弱い分野)を設定して、1コマ担当する夏季補講が9月末に実施されます(3年生の補講も同時進行)。そして10月から後期が始まるわけですが、講義の合間に毎月CBT模試を3回受験し、その間、教員や薬ゼミの模試解説補講も開催して勉強漬け、そしてCBT本試験に望みます。だいたいこのようなスケジュールで1年間、4年生のCBT対策をやっていくわけですが、その合間に卒業研究をやっていきます。大体毎日1コマ、多くて2コマぐらいでしょうか研究に当てられる時間は。

でも、私が研究指導している5年生、4年生に実験の反応機構を聞くと大体答えられない。電子の流れが逆とか、求核剤と求電子剤が分かっていないとか。。。あ、これはまずいなと思ったので、CBT対策と国家試験対策を兼ねて有機化学勉強会(学生からは萬代スペシャルと呼ばれる勉強会)で問題を計100問をやりました。6月から7月末まで週1回1コマのペースで計8回100問です。毎回、解答解説だけではなく、周辺知識の整理とかもやっているので、このぐらいのペースがちょうどいい感じです。

この勉強会のおかげかどうか分かりませんが、学生が受けた先週金曜日の薬ゼミのテスト、有機化学の分野だけ成績が良い学生がいたので、私の勉強会が少しでも役に立ったのかなと思う次第です。

もし勉強会の資料、欲しい方がいましたらお知らせください。萬代の知り合いでしたらお譲りします。

2024.7.11 中圧クロマト納品

一昨日、知多半島の高校回り(往復160 km)で大学のパンフレットを配ってきたところですが、外回りって大変ですね。私には向いていないと改めて思います。

さて、うちの薬学部には私の強いリクエストで入れてもらった山善の中圧クロマトがあり、私の実験室に置いていて5年間稼働してくれたわけですが、今回、自分の中圧クロマトを購入しました。全く同じ機器を購入したわけですが、この機器は自分にとって大切な商売道具となるわけですから、やはり自分の機器が欲しいということになるわけです。

購入した機器は、EPCLC-W-Prep 2XY A-Typeの固定波長タイプ。TLCリーダー付きで2チャンネルあります。当初は予算の関係から、1チャンネルタイプと検出器は可変波長+TLCリーダーを想定しておりました。ただ山善の担当者と打合せをするなかで「1チャンネル+可変波長+TLCリーダー」と「2チャンネル+固定波長+TLCリーダー」の価格差は30万円とのこと。そうなると「2チャンネル+固定波長+TLCリーダー」を選択するわけです。

薬学部のEPCLC-W-Prep 2XY A-Typeは可変波長ですが、可変波長は機器そのものの価格が高いのと、5-10年に一回、光源の交換のため山善への返送と高額な交換費用(20万くらい)がかかることから。一方、私が購入した固定波長タイプは、UVランプを交換するだけなので、1回6000円だけで済みます。

今のところ予算の関係で検出器はUV254nmのみですが、来年度にELSDを購入しますので、装置としては来年度に完成することになります。

手動のカラムクロマトも教育的にはいいですが、薬学部の研究時間が少ないことを考えると精製に時間をかけるわけにもいかないので、私はもちろんのこと、学生にもガンガン使わせる予定です。

2024.7.3 冷蔵庫納品

ゴールデンウィーク開けから週二回の午後に化学系実習をやっていましたが、ようやく終わりました。レポート採点が残っていますが、開放感ハンパないです。私が行った実験の収率をホワイトボードに書き出しているのですが、概ね60−75%で目的物が得られています。湿度の高い時期に、アルゴン雰囲気下ではなく塩カル管を刺してやるグリニャール反応にしては良いのではないでしょうか。

さて、待望の冷蔵庫を購入しました。これまでも学科共通の冷蔵庫はあったものの手狭になってきたので買うことにしました。日本フリーザーのバイオメディカルクーラーUKS-5410DHCというものです。内容量は約544Lで試薬の保管、合成サンプルの保管にちょうどいいのかなと思います。

試薬等を保存するためには、トレーみたいなのがあった方が便利なのですが、冷蔵庫は上から下へと冷気が通らないとダメみたい。出入りの業者にいろいろと相談してみると、牛乳パックを運搬するのに使うミルククレートが冷気を遮断せずに収納できるみたいです(試薬瓶も落ちない)。まだ購入していませんが、このミルククレートだと、1つの棚に2つ並べられるので前向きに検討中です。

2024.6.14 バズりました

私の個人Xでつぶやいた内容がバズりました。壊した器具はほんの一部で、他にもあるのですが。。。。(以下、略)

2024.6.5 折り返し

6月に入りました。久々のブログ更新です。

5月のゴールデンウィーク開けから始まった3年生の化学系実習(月・火午後)も折り返しになり、全8週間のうち、4週間が終わりました。化学系実習も3年目ということもあり、だいぶブラッシュアップされて効率的にできるようになりました。

実習の様子
反応液の様子

実験は安息香酸メチルにフェニルグリニャール反応剤を反応させ、トリチルアルコールを合成します。2日間で完結するようになっており、だいたい70%以上の収率で目的物が得られます。

実験の手順書も公開しますので、参考になれば幸いです(編集可能なWordファイルが欲しければご一報ください)

2024.4.16 新年度

新年度になり、新4年生が研究室配属になりました。他大学でもそうだと思いますが、例年通り有機系はあまり人気がありません。そのような状況でも化学系研究室には6名(男4,女2)が配属され、そのうち、2名が萬代グループに加わることになりました。

6名の学生を教員3名に振り分ける訳ですが、研究テーマを提示して学生に選んでもらうシステムを採用しています。

ということで、今年度は5年生2名(8月から実務実習へ)、4年生2名の計4名で研究を進めていきます。

またありがたいことに、今年も財団の研究費が採択され機器を買うことができます。また機器が入りましたら、その詳細をブログにアップします。

2024.1.21 2024年

ご無沙汰しております。2024年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

このブログ、ほとんど更新できていないのですが、結構観てくださる方々がいて参考にしていますと言ってくださるので、ありがたいですね。独立PI向けの情報発信を意識していますが、思ったより皆様のお役に立ててそうでよかったです。

さて、うちの薬学部一期生もCBTが終わり、ようやく卒業研究に専念できそうです。昨年4月に配属されてから、基本週1回の卒業研究の時間がありませんでした(他の曜日は講義)。しかも、その時間にCBTの対策補講とか模擬試験が入ってくるので、なかなか集中して研究ができないのでフラストレーションがたまっていました。また実験をやらせていると、あの研究室はCBT対策をしていないとか噂が流れ、ブラック研究室のレッテルを貼られてしまいます。

この春から一期生も5年生に進級するわけですが、今度は薬局実習と病院実習が始まってしまいますので、一年の半分はラボにいません。半年で卒業研究をある程度まとめないといけないので、なかなか難しいというか、どこを落とし所にするか悩みそうです。

2023.10.6 GC購入

またまた久々の投稿です。後期が始まりました。講義2コマと薬学基礎実習(週1回4週間)を担当します。さて、この8,9月はいろんな締切(書き物)と雑用に終われ、ほとんど記憶がありません(笑)。戻れるものなら8月上旬まで戻りたいものです。

念願だったGCクロマトグラフィーが先週納入されました。島津製作所のGC-2014(検出器FID、オートインジェクター付)です。ついでに水素発生機も購入しました。

もともとHPLC マンなので、GCのことはよく知りません。機種選定にあたり色々と検討しました。まずキャリアガスですが、一番感度がいいのがヘリウム、次に水素(ヘリウムの1/3から1/5まで感度低下)、そして窒素(ヘリウムの1/10まで感度低下)の順になります。最初にヘリウムを使うことを考えましたが、昨今の情勢から新規のヘリウムガス購入の契約は断られました。私が購入実績があるGCMS用の高純度のヘリウムボンベ(7000L)は、6諭吉(昨年の価格の倍)、納期6ヶ月以上でしたので、これも断念しました(ルーチンで使用する機器なので)。

窒素は一番安いのですが、最適な分離能を示す線速度(カラム流量)は範囲が狭いと言うことで、キャリアガスは水素が選択肢として残りました。しかし、水素は可燃性ガスなのでその取り扱いには注意が必要です。ということで、水素ボンベではなく水素発生機を置くことで少しだけリスク回避をすることにしました。

キャリアガスを変更する(島津製作所)

もともとGC-MSは学科共通のものがありますが、今回のGCの購入で分析機器がほぼ揃いました。ガンガン分析していこうと思います。

2023.1.25 研究室紹介

来年度から研究室配属があり、いよいよ卒業研究が始まります。昨日、現3年生(1期生)に向け研究室紹介を行いました。

本学は大講座制を採っており、教授、准教授、助教はそれぞれ独立PIとして研究活動を行っていますが、学生の研究室配属に関しては各研究分野(有機系なら一括り)で募集し、そこからどの教員のもとで研究を行うか決めることになります(いろいろ揉めましたが、今年度はこの配属方法となりました)。各研究分野で募集人数が決まっているので、溢れた場合は成績により決めていくことになります。

学生の前での研究室紹介は、他の先生にお任せしたのですが、学生に配る冊子での研究室紹介は次のように私は書きました。

本研究グループは、有用な有機化合物を効率的に合成する方法を開発しています。特に有機分子そのものが触媒となる有機分子触媒を開発して、不斉合成へと展開することに興味を持っています。また天然からわずかしか得られない生物活性化合物を化学合成して、その生理活性を評価しています(他大学との共同研究)。いわば、積極的にものづくりを行うグループです。そのため動物は扱いません。本グループに配属された学生は、3年間で有機化学の知識と合成化学の技術を身につけてもらいますので、手取り足取り指導します。論文発表や学会発表も積極的に行っていきます。有機化学の勉強会やCBT対策を実施しますので、成績が悪い学生でも大歓迎です。研究テーマや研究室生活については個別に説明しますので、遠慮なく研究室を訪ねて下さい。

【本グループ配属に向いている学生】 実験が好きな人、成績が悪くてもやる気のある人、(原則)毎日研究室に来られる人、約束・ルール・時間を守れる人、協調性がある人、報連相ができる人、合成化学の技術を習得したい人、機器分析(NMR, HPLC, GCMS, LCMS, IR)技術を習得したい人、研究職に興味ある人

細かい研究テーマを書いても学生にはよく分からないと思うので、詳細は書きませんでした。また学生の人気が出るような甘い言葉を羅列しても、学生と私の双方にとって良くないと思いました(こんなの聞いてない!?みたいなのを避けるため)。薬学部で一番大事なのは、CBTやOSCE、薬剤師国家試験を突破することです。ただ、自由に研究生活に没頭できるのも、この卒業研究ですので、ぜひ学生には研究の面白さや醍醐味を味わって欲しいのです。そういう理由で正直にどんな人に来て欲しいか、可能な限り柔らかい表現で書いたつもりです。また私自身もそうでしたが、有機化学の成績ってあんまり関係ないと思うんです。

とりあえず今回の研究室紹介をもとに学生が研究室に訪ねてくれたら嬉しいですが。。。どうでしょうかね。2月下旬に第一回目の希望調査が出るので、どうなるか楽しみです。

2022.12.16 高校訪問

こんにちは相変わらず講義、雑用、実験に追われ自転車操業の毎日です。

さて、今週の13日(火)に高校訪問に行ってきました。私が担当する高校は知多半島にある3つの高校で、年4回訪問することになっています。今回は3回目の訪問で年内入試の結果と、急遽決まった新しい学費免除制度を伝えるミッションです。来週から高校の保護者懇談会が始まるとのことで、その前に高校訪問に行くことになりました。

年内入試の結果については、内部資料のためここでは公開できませんが、新しい学費免除制度については大学のホームページに公開されているので少しだけ言及します。

岐阜医療科学大学の学費免除制度(薬学部限定)

この制度は、来年1/29に実施される一般選抜入試Aで70%以上の得点率があれば、学費がある程度免除される制度です。別の薬学部奨学生制度も利用すれば、学費が年間40万円でいいという、太っ腹な施策になります。継続の条件はありますが、継続できれば40万円×6年で済むことになります。これは国公立大学よりも安い水準となります。

本学は新設の薬学部ということで知名度が低く、開設から3年間、100名の定員を満たしたことがありません。今回紹介した学費免除制度によって、多くの学生を迎えたいということでこういったインパクトのある制度を作りました。ぜひ多くの受験生に本制度が認知されるように願います。

高校訪問のあとは、お友達のI学院大学のK先生のところにお邪魔しました。前職場も同じだったこともあり、仲良くさせてもらっている先生です。お互い私立薬学部ということで、色々な情報交換をさせてもらいました。またそこのH助教とも初めてお会いすることができました。どうやらこのブログを見てくれているみたいで、お恥ずかしい限りです。このNMR洗浄機も実際に研究室で活用されているようで嬉しいですね。

話は変わりますが、この前の学科会議で来年度の研究室配属の事が議題として出てきました。私の所にも数名配属される予定ですので、近々、現3年生向けの研究室配属の資料を作成したいと思います。

2022.11.2 機器購入

ブログの更新、しばらくぶりになってしまいました。9月は科研費の申請と夏季補習の準備や実験などで時間が取られ、10月は講義(有機化学IとIVの週2コマ)と薬学基礎実習(全4回)があり、また学生面談を16件をこなす感じで時間があっという間に過ぎてしまいました。

私立大学は国立大学と違って雑用が多く、「え、そんなことも教員がやるの?」という事がしばしばあります。いかにしてそれを回避しつつ(いやな感じを出さないで)、自分の研究時間を確保するかが大事だと思います。そうしないと限られた時間があっという間になくなってしまいます。

さて話は変わりますが、最近、新たな機器が納入されました。

一つ目は日本分析工業のリサイクル分取HPLC LaboACE LC-5060 Plus IIです。前から欲しかったGPCで分子量で生成物を精製するという代物です。分取はマニュアル式ですが、色々と自動化されている最新機種です。シリカゲルクロマトグラフィーなどでは分離できないが、GPCなら分離できる場合があるので、これ1台をもっていると強いです。本体に加えて、検出器はRIDとUV同時四波長で化合物を検出できるようにしました。

日本分析工業の方に伺うと、この機種はバカ売れしているそうで、大体の合成系の研究室で購入されているようです。直列に2本つないだカラムも、軽自動車が変えるぐらいのいい値段がしますが、他大学の先生の紹介と言うことで安くしてくれました。これからガンガン使う機器だと思います。

そして、東京理化のケミステーションと耐圧反応容器(6 MPa対応の特注品)2個も納品されました。オートクレーブ(耐圧反応容器)はもっていた方がいいだろうということで、色んな先生から情報を集めた結果、この機種に行き着きました。

まずこの耐圧反応容器のいいところは、手締めで容器を締められることです。大体のオートクレーブは、レンチとか使って、容器を締めるのですが、これは手締めで済むのです。楽ちんですよ。またヘッド部は高圧を掛けられるように6MPaにしました。標準品は2 MPaまでなのですが、高圧を掛けたかったため、6 MPaにしております。そのため特注品で、納品まで3〜4ヶ月掛かりました。この耐圧容器も来年度にはあと3本追加する予定です。

ケミステーションの方は、200 ℃までの加熱と冷却もできます(冷却装置が別途必要)。オートクレーブだけではなく、シュレンクなどもさせるみたいですが、今のところ使わないと思いますね。

武器が色々と揃ったので、機器紹介のページを近々追加したいと思います。

2022.2.25 定期試験終了

後期の担当科目の有機化学I(薬学科1年生)と有機化学IVI(薬学科2年生)の定期試験が先々週に終わりました。初めて2コマ同時開講を担当するということで自転車操業がずっと続いていましたが、何とか無事に終わることができました。

ただし、定期試験の結果は全体的に良くなかったです。有機化学をあまり理解していない学生にいかに勉強をしてもらうか、日々模索中です。

授業評価アンケートの結果を見る限り、講義のスタイルは満足してもらえたのかなと思っています。毎回、課題を配って解いてもらい、次回の講義の冒頭30分かけてどのように問題を解くか、答えだけではなくどのように考えれば良いかを中心に解説したつもりです。このスタイルは来年度も続けていきたいと思います。

2021.12.16 日本薬学会東海支部特別講演会

昨日、本学にて日本薬学会東海支部特別講演会を開催しました。

今回お招きしたのは、公私ともに仲良くさせていただいている飲み仲間の岡山大学病院の大森先生と東京大学薬学部の竹内先生。私が留学していた2008年にボストンで知り合った方々です。大森先生とは、日本に帰ってきてからも共同研究をさせていただいている間柄で、昨日もその共同研究の内容もお話いただきました。講演のあとの質疑応答も活発に行われ、講演会は無事に終わりほっとしています。

薬学部棟の展望スペースにて。左は大森先生、右は竹内先生

2021.6.22 基礎化学(全8回)の講義終了

臨床検査学科、放射線学科の選択科目、基礎化学(前期前半、全8回) の講義が全て終わり、定期テストも無事に終わりました。履修人数は170人超なので試験はマークシート形式でした。マークシート形式の採点は楽ですが、問題を作るのが難しいですね。

平均点は82点ぐらい。試験問題が簡単すぎたのかな。。。

この講義を担当して、3年目ですが、段々と講義の形ができつつあります。昨年から2学科同時開講の講義となり、大ホールでスクリーンのみ使用できる状況です。私としては、板書の時間も設けたいということで(化学は書いてなんぼの世界)、iPadで講義スライドを投影しつつ、板書が必要な時は、Noteshelf2というアプリで手書きをして講義しています。また今回は、講義時間内に演習問題を学生にやらせて、その詳しい解説を講義中にやる形式にしたのでそれも良かったのかな。

教科書は、裳華房のコメディカル化学という教科書。化学を専門としていない学生向けの教科書で分かりやすく書かれています。また教員用に図表のファイルを提供してくれるので、大変助かっています。

前期はこれでもう講義は無し。後期は有機化学IとIVの週2コマ+実習(少しだけ)なので研究に集中できるかな、、、と思っています。

2020.12.10 フェーズセパレーター

反応開発をしていると、まとめて反応を仕掛ける事がよくあります。後処理する数が多いと、試験管の中で有機層と水層を分けるために、パスツールピペットで分液します。

GLサイエンスからフェーズセパレーターという、有機層と水層を分けるものがあったので購入して使ってみました。Biotageからも同じようなフェーズセパレーターが販売されていますが、一部が販売中止になったとか。。。

https://www.gls.co.jp/product/spe_columns/inertsep_series/01104.html

軽い溶媒(例えば酢エチとかエーテル)を使が使えるInertSep® PS-SL は水槽がシリンジの先から落ちてきます。重い溶媒(塩化メチレン)を使えるInertSep® PS-SHは、有機層がシリンジの先から落ちてきます。これを使えば、いちいち分液をする必要がなく、後処理前の溶液をシリンジの中に入れるだけで、層分離ができます。

写真に写っているのは、InertSep® PS-SLで6 mLの容量があり、シリンジの中には有機層、下のバイアルには水槽が入っています。100本で4万円弱しますが、何回か再利用すれば、元は取れるのかなと思います。しかし、使用済みのInertSep® PS-SLを洗浄して乾燥させてみると、膜が分離しかかっているものがありましたので、再利用可能かはなんとも言えません(反応液を投入するときに、塩が析出しておりそれが原因かも)。シリンジを刺している台もGLサイエンスのもので、そこそこの値段はします。

ただ残念なのは、ホームページを見たところ、販売中止となっています。今業者を通して確認中ですが、もし代替品なしの販売中止であれば、折角フェーズセパレーターができる環境を整えたのに残念です。

2020.11.17 反応器へのアルゴンガス供給ライン

有機合成の実験では、禁水条件やアルゴン雰囲気下で反応を仕込むことがよくあります。普通は、ゴム風船にアルゴンを充填して三方コックにつけて反応器をアルゴン雰囲気下にしています。

ただゴム風船は空気を通すと言われているので、アルゴン雰囲気下で反応を仕込んでも、オーバーナイトで反応をまわすと空気が入ってくる可能性があるわけで、本当にアルゴン雰囲気下なの?と言われると「うーん」と言わざるを得ないです。

そこで風船に頼らず、反応器をアルゴン雰囲気下にするためにアルゴンガス供給ラインをガラス屋さんにだいぶ前に作ってもらいました。その写真がこちら。

左のゴム管からアルゴンが供給され、右のバブラーでガスが抜けるようになっています。特注品のマニホールドには、ルアーロックのオスが取り付けてあり、ここからシリコンチューブが延びていて、先端にはディスポのニードルが取り付けてあります。このニードルを反応器につけたセプタムにぶっ刺せば、常にアルゴンが供給される仕様になっています(ニードルの先を水につけると、ぶくぶく泡が出るぐらいの勢いです)。

このラインは便利で、例えばブチリチをシリンジで抜き取ったりするときにも利用できます。まあ風船よりはコストがかかりますが、空気が入ってくるリスクを低減することができます。

もしこのアルゴンガス供給ラインに興味がありましたら、設計図や価格の詳細を教えることができますので、お知らせください。

2020.10.27 ソルベントサプライシステム

実習、研究用に5連のソルベントサプライシステムを学科に導入してもらいました。関東化学の脱水溶媒(SUS)缶を接続し、外気に触れることなく脱水溶媒を使うことができます。2枚目の写真には、メス型ルアーロック(別売)をつけると、シリンジを装着するだけでダイレクトに溶媒を取ることができます。

グラブスの溶媒装置が有名だと思いますが、カラムのメンテナンス費用が掛かる(噂では100万円?)ので、関東化学のソルベントサプライシステムにしました。5つの溶媒で100万はかかっていないと思います。

写真のSUS缶はTHF, エーテル、ジクロロメタンでとりあえずこの3種類を導入しました。SUS缶を購入するには、ユーザー登録が必要となります。またある程度の使用頻度がないとユーザー登録できないようになっています。今までは、500 mLの瓶で脱水溶媒を購入していました。瓶で何本も年間購入するようでしたら、こちらのSUS缶の方がかなりお得だと思います(価格が知りたい人はメールください)。

薬学科の学生さんは、実習でこのようなソルベントサプライシステムを使用することができますので、大いに活用してもらいたいと思います。

2020.10.7 最近買ったオススメ消耗品

最近買ったもので便利なものをご紹介します。

コンタミノン(洗剤)

https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/00466.html

大量の試験管を1本ずつ洗浄するのは大変ということで、富士フィルム和光純薬のコンタミノンという洗剤を購入。超音波洗浄機の中に投入し(数%の溶液)、超音波にかけるだけで器具の洗浄が完了します。つい先日、大型の超音波洗浄機を購入したので、大量の試験管やガラス器具を一気に洗浄できます。手で洗うよりも綺麗になっている気がします。うちはコンタミノンNとコンタミノンUSを購入しました。

エバポバイアル瓶アダプター(14.5 mm)

https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NCGL140054/

同僚の先生が使っていたのを見て、即決で購入。バイアルをエバポするときに使うアダプターです。今まではセプタムとディスポニードルをさしてエバポに装着していましたが、安定感はゼロ。暴れます。このアダプターのおかけで、バイアルが暴れずにエバポできます。

ラボランサンプル管瓶10 mLスクリュー管瓶 30mLはアダプターが使えるのは確認済みです。

2020.9.8 近況報告

ブログの投稿も久々になってしまいました。7,8月はなんだかんだで日々忙しくブログの投稿も滞っておりました。

前所属での研究を論文にまとめて、ほぼ投稿する寸前のところまでいったのですが、Supporting Information作成中にラセミ体のHPLCチャートと不斉合成した化合物のHPLCチャートがないことに気づきました。当時、実験を担当してくれた学生さんに連絡をとり、ラセミ体のHPLCデータが無いことが発覚。分離条件もエナンチオマーが分かれずよく分からなかったとのこと。私がもう一度、ラセミ体の合成して分離条件を探すことになりました。

いざ実験を始めると、研究室を立ち上げて間もないので、「これがない、あれがない」のオンパレード。その都度、備品や消耗品を買っていますが、思うように実験ペースが上がらないですね。私一人と研究員2人の少人数でもそれなりの出費がかさみます。

独立した場合は、研究室の立ち上げに時間がかかるのでその辺りは注意が必要です。一応、前所属で注文した薬品やや機器類、よく購入する消耗品のリストは用意していましたが、それでも漏れがあります。独立する人もしない人も、ぜひ今の研究環境で使っているもののリストや写真は必須だと思います(同じような研究環境を作りたい場合は特に)。

ところで最近、超音波洗浄機を購入しました。無くてもいいかなと思っていましたが、やはりあった方が良いとのことで購入に至りました。

ガロン瓶が入るサイズがなかなか無くて、最終的にはアイワ医科工業(株)の超音波洗浄機を購入しました。使い勝手は非常にいいです。

https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223012648211/?HissuCode=25-0028

あとは真空計が欲しいのですが、価格は10万円オーバーなのでちょっと様子見です。

9月から研究補助のパートさんが私の研究を手伝ってくれる事になりました。有機合成の経験がある方なので、大変心強いです。これからどんどん新しいことにチャレンジできそうです。

2020.7.27 新型コロナウイルス感染

もはや他人事ではなくなってきました。気をつけましょう。

2020.6.18 示差屈折検出器RID-20Aの購入

HPLCに新しい検出器を追加しました。それは示差屈折検出器RID-20Aです。キャンペーン価格での購入ですので、だいぶ安く購入することができました。これまでUVのみの検出でしたが、今後は感度は落ちるけどUV吸収が無い試料も分析できるようになります。

装置構成は下記の通り。

左からワークステーション。次の列が送液ユニット(低圧グラジエントポンプLC-20AT)、その上にデガッサー(DGU-20A)とリザーバートレイ。一番高く積み上げているところは、下からオートサンプラ(SIL-20A)、UV検出器(SPD-20A)、示差屈折検出器(RID-20A)、一番上がリザーバートレイ。そして一番右が、業者さんから異動祝いにもらったカラムオーブン(CTO-10AS)

UVとRIDは直列に繋いでいるので、同時検出が可能です。

いびつな形に積み上がっていますが、どうしても検出器は、オートサンプラとカラムオーブンの近くに置く必要があるようで、このような形となったようです。

このHPLCを買ったときは、最小限の構成でしたが、3年掛けて徐々に充実してきました。この装置を使って、バンバン分析をしていきたいと思います。

この他、UC-リアクターの最上位機種も購入しました。その話は次回にします。

2020.6.3 研究室のモニター環境

今回は、前から書きたいと思っていた仕事場のモニター環境を紹介したいと思います。

前の所属では、24インチモニター2枚をモニターアームで固定して、デュアルモニター(うち1枚は縦置き)を構築して、Dellのデスクトップパソコンをつなげて仕事をしていました。特に24インチモニターの縦置き環境は便利で、論文のPDFやWordファイル全体を表示することができます。ちまちまスクロールする必要がなく、もう後(シングルモニターや横置き)には戻れない体になってしまいました。

岐阜医療科学大学に来てからは、大きなデスクが自由に使えるようになりましたので、新たなモニター環境を再構築することにしました。

独立してやりたい放題な環境なので、24インチのデュアルモニターといったセコい環境ではなく、一人で運べないぐらいクソ重いワイドモニターを導入することにしました。大学からは22インチのモニターも支給されていますが、それでも15万もする大きい5Kモニターの購入一択でした。

それは、Dell デジタルハイエンドシリーズ U4919DW 49インチワイド曲面モニター です。

このモニターにした決め手は、USB-Cポートがあること、またHDMIとDisplayPortが使え、2台のパソコンを同時に出力(2画面表示)できることでした。普段使いでMacとWindowsの二画面同時表示して仕事することはほぼありません。

USB-CポートにはメインのMacBook Pro(15インチ)をクラムシェルモードで接続し、Displayportには大学から支給されたWindows 10のデスクトップをつなげています。Windows端末は退勤管理や学内ネットワーク内の共通サーバに接続しているため、使わざるを得ないのです。

ただ、頭のどこかには、A4縦表示モニターを設置したい欲求がどこかに残っており、つい最近24インチモニターをまた2台買ってしまいました。うち1台はDellのワイド曲面モニターとのデュアルモニターとして、もう1台は計算機2台(Gaussian 16)をつなげる目的です。

バカみたいに追加で2台買ったモニターは、Dell プロフェッショナルシリーズ P2419H 23.8インチワイドモニターです。ピボット機能が付いています。

もともとDellの49インチワイドモニターだけで、複数画面表示でき、Macのマグネットというアプリを使えば、ショートカットキーで自由自在にピチッとウインドウが並べることができます。ここにDellの23.8インチのモニターを縦置きにすると、さらに大きな表示環境が手に入りました。

それがこちら。

本の執筆中の画面。右奥にクラムシェルモードのMacBook Proが見える。

この写真に写っている49インチワイド曲面モニター(解像度5K)の左1/3に1つのWordファイルを表示し、右2/3には別のWordファイルを複数ページ表示しています。そして右側に鎮座する23.8インチの縦置きモニター(解像度1920 x 1080)には、さらに別のWordファイルを表示させています。

いやー、これは便利。すごく便利です。

今はたまたま異なるWordファイル3つを表示させていますが、パワポ、エクセル、PDFなど異なるファイルを参照するときに、一挙にを表示させる時に真価を発揮します。(写真では写っていませんが、左側にはGaussian計算機を2台つないだモニターもあります)

MacBook Proをつないでこうしてデスクトップ化しているので、仕事が終わればノートパソコンは持ち帰ります。自宅でも同じ環境で仕事ができるので、大変便利です。家庭には仕事を持ち帰らない主義ですと言ってみたい。

私がこうした環境を構築するときに、いろいろとサイトを参考にしました。あまり参考にならなかったので、そして今回こうしてブログに書くことにしました。

参考になれば幸いです。

2020.5.20 遠隔授業

本学でも5月中旬から5月末まで遠隔授業を実施しています。

遠隔授業のやり方は2つあって、(1)パワーポイントに音声を入れて公開する方法、(2)MicrosoftのStreamで講義動画を流す方法 です。どちらの場合も事前に収録が必要で、リアルタイムに映像を流すといったものではありません。

前期は臨床検査学科と放射線技術学科の基礎化学(選択科目)を受け持っていますので、私は(2)の方法で遠隔授業をやっています。無人の講義室で、講義を行っている様子を収録するのですが、PC画面(パワーポイント)と板書の2画面を収録しています(下の写真)。二画面同時に表示される設定なので、少し見づらいかもしれません(特にスマホで視聴した場合)。

本学ではオンラインでの教育環境が整っていますので、出席を兼ねた小テストをMicrosoftのFormsに紐付けし、講義動画の最後に小テストをする流れとなっています。またポータルサイトdotcampusも使えるので、こちらにも自習用の問題をアップしています。

いよいよ6月からは対面授業を開始するみたいなので、今回の遠隔授業の収録は2回で終わってしまいますが、今後の授業を進めるうえで良い経験になったと思います。

2020.4.2 薬学部薬学科開設

新年度になり、岐阜医療科学大学薬学部薬学科が開設されました。

それに伴い、これまでの保健科学部臨床検査学科・講師から薬学部薬学科・准教授へと配置換え&昇任となりました。所属と職位が変わっただけで、研究室の場所は変わりません。

これまで理学部(学部生)→理学研究科(修士)→薬学研究科(博士)→工学部(助教)→保健科学部臨床検査学科(講師)→薬学部と渡り歩いてきましたが、初めて薬学教育に携わることになります。

慣れないことも多いですが、教育と研究、共に頑張っていく所存ですので、よろしくお願いいたします。

岐阜医療科学大学薬学部薬学科

https://phar.u-gifu-ms.ac.jp

2020.1.8 明けましておめでとうございます

本年もどうぞよろしくお願い致します。

今年4月の薬学部薬学科開設まで残り3ヶ月となりました。その準備も粛々と進めております。

さて、2020年になり一念発起して新しいツイッターアカウントを開設しました。うちの大学のことも含めていろいろな情報発信をできればと思っております。ぜひ@HirokiMandaiをフォローしていただけたらと思います。

よろしくお願い致します。

2019.10.9 研究室立ち上げ(第三話:二連式真空マニホールド編)

私の研究ではグローブボックスなど厳密な条件は必要ないのですが,やはり二連式の真空マニホールドは一つは欲しいということで,既存のものを探しましたが,自分の環境に合ったものはなく新しく作ることにしました.

やはりメンテナンスのしやすさから,ガラスコックではなくグリスレスバルブに拘りました.前の所属研究室では毎年の夏と冬の大掃除のときに,ガラスコックについたグリースを綺麗に拭き取るやっかいな作業があり,なんとしてでもこれは避けたい.ということでグリスレスバルブの二連式真空マニホールドの設計図をとある業者に作ってもらいました.

上図はマニホールドを上から見た図,下図は横から見た図です.まず上図の上側の管ですが,ここにアルゴンを通します.両端にφ8ゴム止めをつけていますが,片方はボンベに直結,もう片方は双子バブラーもしくはアルゴンラインの延長用としてつけました.

上図の下側の管は真空となります.下図では左横にグリスレスバルブ付きのφ8があります.これは真空ラインの延長用で,将来的にはDIYマニホールド(一連式)をつなげることを想定しています.また左下にはφ16のゴム止めがあり,これは真空ポンプ側に接続します.ゴム止めφ16の理由は,真空ポンプの吸気口がφ16でしたのでそれに合わせました.当然,真空トラップ,途中でかませる球型ガラスフィルター(G4),KOH管のゴム止めもφ16で製作してもらいます.このφ16のゴム止めを真空ラインの右端につけることも想定しましたが,延長用のDIYマニホールドでは粉もの(化合物やシリカ吸着させたもの)を乾燥させるため,もし粉が舞ってしまっても,グリスレスバルブの領域までコンタミしないように,延長用のグリスレスバルブ付φ8ゴム止めとφ16を同じ場所(左端)にしました.ちなみに設計図のグリスレスバルブはヤングコックという黄色いコックです(コック1つ=1万円).

そういうわけで,この設計図を各社に送って見積をとりました.

ヤングコック付き二連式真空マニホールドの見積
A社 210,000円(税抜)(設計図を書いてもらったところ)
B社 250,000円以上(電話でこのくらいかかると言われた)
C社 192,800円(税抜)
林製作所 180,000円(税抜)

この時点で圧倒的に林製作所がやすいのですが,外国製のヤングコックを青色のAGコック(旭製作所)に替えるともっと安くなりますよという提案を受けました.

AGコック付き二連式真空マニホールドの見積
林製作所 140,000円(税抜)

もうこの14万円でお願いすることにしました.

そして届いた真空マニホールドがこちらになります.素晴らしい出来栄えです.ありがとうございました.

それではまた.

2019.10.2 研究室立ち上げ(第二話:天びん編)

前所属では島津製作所の天びんを使っていましたが,あまり好きじゃなかったので,天びん類を新光電子のものに変えました.この会社は知らなかったのですが,日本のメーカーで音叉(おんさ)でものを測るというシステムを採用しているようです.

なぜこの天びんにしたかというと,下記のYoutubeを見て購入を即決しました.

精密分析天びんはHT224Rというモデルです(ひょう量:〜220g/最小表示:0.1mg).定価では16.5万円ですが,伊勢久さんに安くしてもらいました.

せっかくなんで,この天びんにつなげるプリンターも買いました.CSP-160IIというモデルです.まあプリンターはいらないという話もありますが...

そして,もっと重たいものを測ることができるALE2202Rという天びんも購入しました(ひょう量:220g〜2200g/最小表示:0.01g ).

やっと天びんの設置が終わったので,これから実験室のセットアップを本格化していきます.

ではまた.

2019.9.25 実験室立ち上げ(第一話)

8月末に引越してきた居室の隣りに実験室があります.現在この実験室の立ち上げ作業を粛々と進めています.

この部屋には実験台3台(試薬棚付150cm幅実験台1台,平机2台),島津製VAVドラフト2台(120cm幅),サイド実験台4台,天びん台などが既に設置されており,これを一から揃えるとなると相当な費用がかかるところでした.

手前が実験室,奥が学生の居室
流し台から見た実験室
左側奥にあるのが天びん台そして奥がドラフト2台

実験台3台のうち,試薬棚付きが1台でここにアングルを組んでもらう予定です.残りの平机についても,試薬棚をつけるかアングルだけにするか考え中です(試薬棚+アングルの組み合わせだと狭くなってしまうので悩みどころ).

この状態から実験に必要な設備・消耗品類を揃えていくことになります.消費税が上がる9月末までに色々と購入したので,後々紹介したいと思います.

それではまた

フッターロゴ
Copyright © 萬代研究室
トップへ戻るボタン