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2020.11.25 一斗缶カッター
有機系の研究室では、一斗缶を実験室内のゴミ箱にしているところが多いと思います。溶媒使用量の多い研究室では、ほぼ毎日、空の一斗缶が手に入ります(前所属ではそうでした)。普通の缶切りで一斗缶の上部のフタを開ける、、、なんて気の遠くなるような作業を学生さんはよくしていました。面倒なので、実験室の一斗缶ゴミ箱は古いまま(錆だらけ)なんてこともよくあります。
実は、一斗缶カッターなるものがあるんです。これは1年前に買ったものですが、非常に便利。
https://axel.as-1.co.jp/asone/d/61-6657-89/
一斗缶を開けるのに1分もかかりませんし、切り口は綺麗です。多少、バリは残りますが、普通の缶切りで開けるよりも楽です。一斗缶の上下を開けば、平らにして廃棄することもできます。
一斗缶カッター、オススメです。
2020.11.17 反応器へのアルゴンガス供給ライン
有機合成の実験では、禁水条件やアルゴン雰囲気下で反応を仕込むことがよくあります。普通は、ゴム風船にアルゴンを充填して三方コックにつけて反応器をアルゴン雰囲気下にしています。
ただゴム風船は空気を通すと言われているので、アルゴン雰囲気下で反応を仕込んでも、オーバーナイトで反応をまわすと空気が入ってくる可能性があるわけで、本当にアルゴン雰囲気下なの?と言われると「うーん」と言わざるを得ないです。
そこで風船に頼らず、反応器をアルゴン雰囲気下にするためにアルゴンガス供給ラインをガラス屋さんにだいぶ前に作ってもらいました。その写真がこちら。
左のゴム管からアルゴンが供給され、右のバブラーでガスが抜けるようになっています。特注品のマニホールドには、ルアーロックのオスが取り付けてあり、ここからシリコンチューブが延びていて、先端にはディスポのニードルが取り付けてあります。このニードルを反応器につけたセプタムにぶっ刺せば、常にアルゴンが供給される仕様になっています(ニードルの先を水につけると、ぶくぶく泡が出るぐらいの勢いです)。
このラインは便利で、例えばブチリチをシリンジで抜き取ったりするときにも利用できます。まあ風船よりはコストがかかりますが、空気が入ってくるリスクを低減することができます。
もしこのアルゴンガス供給ラインに興味がありましたら、設計図や価格の詳細を教えることができますので、お知らせください。
2020.11.12 独立PIのはなし
先日、前職で同僚だった先生で、現在は某私立大学に教授として研究室を主催されているH先生とK先生とZoomでお話しました。3人とも私立大学で独立PIですので、研究室の立ち上げの話や研究費の話、機器や器具の話で盛りあがりました。
私立と言っても大学によるサポートはもちろん異なるわけで、スタートアップ費用やラボの引越費用の補助があるところもあれば、もちろん無いところもあります。
3人で共通した認識は、研究室立ち上げにはお金がかかる。やはり、チリも積もればということで、何だかんだで1000万は必要だと思われます。うちは学生のデスクとか本棚とか家具関係は全て大学支給なので、本当にありがたいなと思いますが、それでも500〜1000万円くらいはすでに実験器具や装置に変わっております。
講座制の研究室は、お互い助け合うことはできお金にはあまり苦労しません。独立PIは常に金策に走り回る必要がありますが、研究テーマを自由に設定できる独立PIは魅力的だと思います。
2020.10.7 最近買ったオススメ消耗品
最近買ったもので便利なものをご紹介します。
コンタミノン(洗剤)
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/00466.html
大量の試験管を1本ずつ洗浄するのは大変ということで、富士フィルム和光純薬のコンタミノンという洗剤を購入。超音波洗浄機の中に投入し(数%の溶液)、超音波にかけるだけで器具の洗浄が完了します。つい先日、大型の超音波洗浄機を購入したので、大量の試験管やガラス器具を一気に洗浄できます。手で洗うよりも綺麗になっている気がします。うちはコンタミノンNとコンタミノンUSを購入しました。
エバポバイアル瓶アダプター(14.5 mm)
https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NCGL140054/
同僚の先生が使っていたのを見て、即決で購入。バイアルをエバポするときに使うアダプターです。今まではセプタムとディスポニードルをさしてエバポに装着していましたが、安定感はゼロ。暴れます。このアダプターのおかけで、バイアルが暴れずにエバポできます。
ラボランサンプル管瓶10 mLとスクリュー管瓶 30mLはアダプターが使えるのは確認済みです。
2020.9.8 近況報告
ブログの投稿も久々になってしまいました。7,8月はなんだかんだで日々忙しくブログの投稿も滞っておりました。
前所属での研究を論文にまとめて、ほぼ投稿する寸前のところまでいったのですが、Supporting Information作成中にラセミ体のHPLCチャートと不斉合成した化合物のHPLCチャートがないことに気づきました。当時、実験を担当してくれた学生さんに連絡をとり、ラセミ体のHPLCデータが無いことが発覚。分離条件もエナンチオマーが分かれずよく分からなかったとのこと。私がもう一度、ラセミ体の合成して分離条件を探すことになりました。
いざ実験を始めると、研究室を立ち上げて間もないので、「これがない、あれがない」のオンパレード。その都度、備品や消耗品を買っていますが、思うように実験ペースが上がらないですね。私一人と研究員2人の少人数でもそれなりの出費がかさみます。
独立した場合は、研究室の立ち上げに時間がかかるのでその辺りは注意が必要です。一応、前所属で注文した薬品やや機器類、よく購入する消耗品のリストは用意していましたが、それでも漏れがあります。独立する人もしない人も、ぜひ今の研究環境で使っているもののリストや写真は必須だと思います(同じような研究環境を作りたい場合は特に)。
ところで最近、超音波洗浄機を購入しました。無くてもいいかなと思っていましたが、やはりあった方が良いとのことで購入に至りました。
ガロン瓶が入るサイズがなかなか無くて、最終的にはアイワ医科工業(株)の超音波洗浄機を購入しました。使い勝手は非常にいいです。
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223012648211/?HissuCode=25-0028
あとは真空計が欲しいのですが、価格は10万円オーバーなのでちょっと様子見です。
9月から研究補助のパートさんが私の研究を手伝ってくれる事になりました。有機合成の経験がある方なので、大変心強いです。これからどんどん新しいことにチャレンジできそうです。
2019.10.9 研究室立ち上げ(第三話:二連式真空マニホールド編)
私の研究ではグローブボックスなど厳密な条件は必要ないのですが,やはり二連式の真空マニホールドは一つは欲しいということで,既存のものを探しましたが,自分の環境に合ったものはなく新しく作ることにしました.
やはりメンテナンスのしやすさから,ガラスコックではなくグリスレスバルブに拘りました.前の所属研究室では毎年の夏と冬の大掃除のときに,ガラスコックについたグリースを綺麗に拭き取るやっかいな作業があり,なんとしてでもこれは避けたい.ということでグリスレスバルブの二連式真空マニホールドの設計図をとある業者に作ってもらいました.
上図はマニホールドを上から見た図,下図は横から見た図です.まず上図の上側の管ですが,ここにアルゴンを通します.両端にφ8ゴム止めをつけていますが,片方はボンベに直結,もう片方は双子バブラーもしくはアルゴンラインの延長用としてつけました.
上図の下側の管は真空となります.下図では左横にグリスレスバルブ付きのφ8があります.これは真空ラインの延長用で,将来的にはDIYマニホールド(一連式)をつなげることを想定しています.また左下にはφ16のゴム止めがあり,これは真空ポンプ側に接続します.ゴム止めφ16の理由は,真空ポンプの吸気口がφ16でしたのでそれに合わせました.当然,真空トラップ,途中でかませる球型ガラスフィルター(G4),KOH管のゴム止めもφ16で製作してもらいます.このφ16のゴム止めを真空ラインの右端につけることも想定しましたが,延長用のDIYマニホールドでは粉もの(化合物やシリカ吸着させたもの)を乾燥させるため,もし粉が舞ってしまっても,グリスレスバルブの領域までコンタミしないように,延長用のグリスレスバルブ付φ8ゴム止めとφ16を同じ場所(左端)にしました.ちなみに設計図のグリスレスバルブはヤングコックという黄色いコックです(コック1つ=1万円).
そういうわけで,この設計図を各社に送って見積をとりました.
ヤングコック付き二連式真空マニホールドの見積
A社 210,000円(税抜)(設計図を書いてもらったところ)
B社 250,000円以上(電話でこのくらいかかると言われた)
C社 192,800円(税抜)
林製作所 180,000円(税抜)
この時点で圧倒的に林製作所がやすいのですが,外国製のヤングコックを青色のAGコック(旭製作所)に替えるともっと安くなりますよという提案を受けました.
AGコック付き二連式真空マニホールドの見積
林製作所 140,000円(税抜)
もうこの14万円でお願いすることにしました.
そして届いた真空マニホールドがこちらになります.素晴らしい出来栄えです.ありがとうございました.
それではまた.
2019.10.2 研究室立ち上げ(第二話:天びん編)
前所属では島津製作所の天びんを使っていましたが,あまり好きじゃなかったので,天びん類を新光電子のものに変えました.この会社は知らなかったのですが,日本のメーカーで音叉(おんさ)でものを測るというシステムを採用しているようです.
なぜこの天びんにしたかというと,下記のYoutubeを見て購入を即決しました.
精密分析天びんはHT224Rというモデルです(ひょう量:〜220g/最小表示:0.1mg).定価では16.5万円ですが,伊勢久さんに安くしてもらいました.
せっかくなんで,この天びんにつなげるプリンターも買いました.CSP-160IIというモデルです.まあプリンターはいらないという話もありますが...
そして,もっと重たいものを測ることができるALE2202Rという天びんも購入しました(ひょう量:220g〜2200g/最小表示:0.01g ).
やっと天びんの設置が終わったので,これから実験室のセットアップを本格化していきます.
ではまた.
2019.9.25 実験室立ち上げ(第一話)
8月末に引越してきた居室の隣りに実験室があります.現在この実験室の立ち上げ作業を粛々と進めています.
この部屋には実験台3台(試薬棚付150cm幅実験台1台,平机2台),島津製VAVドラフト2台(120cm幅),サイド実験台4台,天びん台などが既に設置されており,これを一から揃えるとなると相当な費用がかかるところでした.
実験台3台のうち,試薬棚付きが1台でここにアングルを組んでもらう予定です.残りの平机についても,試薬棚をつけるかアングルだけにするか考え中です(試薬棚+アングルの組み合わせだと狭くなってしまうので悩みどころ).
この状態から実験に必要な設備・消耗品類を揃えていくことになります.消費税が上がる9月末までに色々と購入したので,後々紹介したいと思います.
それではまた