専門書に分担執筆しました(裏話)
このたび、Wiley社から出版された専門書『Atropisomerism in Asymmetric Organic Synthesis: Challenges and Applications』に分担執筆者として参加しました。
先日、大学の図書館から、「先生が書いた本を図書館で購入しようと思うのですが書籍とオンライン版(PDF)のどちらがいいですか?」という電話があり、すでに出版されているのを初めて知りました、、、著者特典で献本あるかなと思ったり。。。
今回、私が執筆したのは 第9章「Binaphthyl-Based Chiral DMAP Derivatives in Enantioselective Transformations」 です。この章では、ビナフチル骨格を持つキラルDMAP誘導体を用いたエナンチオ選択的変換反応について、これまでの研究成果と応用可能性をまとめています。この分野を専門として研究を続けてきた身として、阪大滝澤先生からお声がけいただき専門書の一部を担当できたことは大変光栄でした。
執筆自体はやりがいのある仕事でしたが、いくつかの困難にも直面しました。たとえば、事務局による剽窃チェックの段階で、過去に私が執筆した論文やReviewが「剽窃」として引っかかる事態が発生しました。同じテーマを扱っているため、文章や表現に重複が生じるのは避けられない部分もありますが、自動チェックシステムはそれを許容しません。この対応には予想以上に時間がかかり、文章の見直しや類義語に変更するという無駄な作業をする羽目になりました。
また、校正の段階でも混乱がありました。何度も修正を重ねた原稿が、著者校正段階で確認すると校正前の状態に戻っている部分がいくつか見つかりました(嗚咽)。このようなトラブルが重なり、Wileyの事務局に対して怒りがこみ上げ、心身ともに疲弊しました。研究や教育業務を並行して行う中での執筆は時間の確保が難しく、きつかったですね。
今回の執筆を通じて、自身の研究を体系立てて振り返り、それをどのように他の研究者に伝えるかを考える良い機会になりました。こんどは新しいネタで本を書いてみたいものです。
本書については、以下のリンクをご覧いただければ幸いです:
👉 『Atropisomerism in Asymmetric Organic Synthesis: Challenges and Applications』