小スケールでの分液テクニック
反応屋は1回に何個も反応を仕掛けます。学生時代は、実験台の上で反応が回っていないと、よく叱られたものです。
テクニックという程でもありませんが、何個も試験管で小スケールの反応をかけたとき、いちいち分液ロートを振りますか?面倒ですよね。何個も後処理しなければいけないときは、ピペット分液が役に立ちます。
まず短いパスツールに綿を詰めて硫酸マグネシウムを充填したものを用意します。
反応をクエンチした反応器(試験管)の上層(有機層)だけピペットで吸い上げ、先ほどのパスツール通します(下記写真参照)。その後、何回か酢エチで水層抽出→パスツールで有機層だけ吸い上げる→硫マグパスツールに通す、の作業を繰り返しすると、脱水された有機層のみ得られます。私の場合は、クエンチ前に内部標準を添加しているので、少々、有機層をロスっても大丈夫です。
集めた有機層の10 mLバイアルは、アダプター(詳細は以前の記事を参照)をつけて濃縮です。その後、NMRを取ってNMR収率を算出します。
塩化メチレンなど、下層が有機層、上層が水槽でも適用できます(パスツールで下層の有機層のみ吸い上げるだけ)。こういう分液のやり方は、沢山の小スケールの反応の後処理に便利ですので、ぜひお試しください。
2021.6.9