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2021.6.29 備品購入(クーゲルと真空計)
小スケールの蒸留には、クーゲル装置が欠かせないですが、うちにもようやくクーゲルとデジタル真空計が来ました。
クーゲルは柴田のGTO-1000型で、クーゲル蒸留はもちろんのこと、オプション品をつければ昇華精製や加熱乾燥にも対応できる優れものです。ずっと前から欲しかったのですが、柴田とビュッヒしか販売されておらず、しかもセール品にならないので後回しになっていました。これでようやくクーゲル蒸留ができる環境が整いました。競争相手が居ないので、まあいい値段しますね。。。
あと減圧蒸留に必要なデジタル真空計も併せて購入。学生時代は水銀の入った回転式マノメーターを使っていましたが、今は販売していないのでデジタル式のものを選定することに。某I学院のK先生や某N大のH先生が愛用しているバキューブランドの真空計を購入しました。スペックは悩んだのですが、研究室にある佐藤真空の真空ポンプが0.67Paの到達真空度なのでそれも測れるVACUU・VIEW extendedにしました。
これらの機器は頻繁には使い物では無いけど、研究室に1つは欲しいモノなのでようやく揃える事ができました。
2021.6.22 基礎化学(全8回)の講義終了
臨床検査学科、放射線学科の選択科目、基礎化学(前期前半、全8回) の講義が全て終わり、定期テストも無事に終わりました。履修人数は170人超なので試験はマークシート形式でした。マークシート形式の採点は楽ですが、問題を作るのが難しいですね。
平均点は82点ぐらい。試験問題が簡単すぎたのかな。。。
この講義を担当して、3年目ですが、段々と講義の形ができつつあります。昨年から2学科同時開講の講義となり、大ホールでスクリーンのみ使用できる状況です。私としては、板書の時間も設けたいということで(化学は書いてなんぼの世界)、iPadで講義スライドを投影しつつ、板書が必要な時は、Noteshelf2というアプリで手書きをして講義しています。また今回は、講義時間内に演習問題を学生にやらせて、その詳しい解説を講義中にやる形式にしたのでそれも良かったのかな。
教科書は、裳華房のコメディカル化学という教科書。化学を専門としていない学生向けの教科書で分かりやすく書かれています。また教員用に図表のファイルを提供してくれるので、大変助かっています。
前期はこれでもう講義は無し。後期は有機化学IとIVの週2コマ+実習(少しだけ)なので研究に集中できるかな、、、と思っています。
2021.6.9 小スケールでの分液テクニック
反応屋は1回に何個も反応を仕掛けます。学生時代は、実験台の上で反応が回っていないと、よく叱られたものです。
テクニックという程でもありませんが、何個も試験管で小スケールの反応をかけたとき、いちいち分液ロートを振りますか?面倒ですよね。何個も後処理しなければいけないときは、ピペット分液が役に立ちます。
まず短いパスツールに綿を詰めて硫酸マグネシウムを充填したものを用意します。
反応をクエンチした反応器(試験管)の上層(有機層)だけピペットで吸い上げ、先ほどのパスツール通します(下記写真参照)。その後、何回か酢エチで水層抽出→パスツールで有機層だけ吸い上げる→硫マグパスツールに通す、の作業を繰り返しすると、脱水された有機層のみ得られます。私の場合は、クエンチ前に内部標準を添加しているので、少々、有機層をロスっても大丈夫です。
集めた有機層の10 mLバイアルは、アダプター(詳細は以前の記事を参照)をつけて濃縮です。その後、NMRを取ってNMR収率を算出します。
塩化メチレンなど、下層が有機層、上層が水槽でも適用できます(パスツールで下層の有機層のみ吸い上げるだけ)。こういう分液のやり方は、沢山の小スケールの反応の後処理に便利ですので、ぜひお試しください。