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2018.10.26 [:ja]大阪大学南方研で講演しました[:]
[:ja]10/20(土)に大阪大学の南方研究室の第10回若手研究者セミナーで講演をしてきました.南方研究室では,年2回,若手の研究者を招いて講演会を開催しているようです.
過去9回の講演者はみな若くて第一線で活躍されている先生方のなか,私のようなもはや若手とはいえない研究者を呼んでいただけて大変光栄です.
第1回 京都大学 浅野圭佑 先生
第2回 名古屋大学 村上彗 先生
第3回 東京大学 生長幸之助 先生
第4回 東北大学 近藤梓 先生
第5回 理化学研究所 丹羽節 先生
第6回 北海道大学(当時所属)大宮寛久 先生
第7回 早稲田大学 カニヴァ スティブィン キャロ先生
第8回 名古屋大学 瀬川泰知 先生
第9回 京都大学 藤田大士 先生
第10回 今回
南方研究室の武田先生からは,「最新の研究はもちろんのこと、普段学生が参加する大規模な講演会やセミナーではなかなか聞くことのできない、先生方の研究哲学、苦労談話、若手研究者としてのキャリアパスについて勉強させていただくと共に、直に議論をすることで交流を深める」というという趣旨のもとで講演をお願いされました.私の講演では,これまでの私のキャリアパス,この研究に至った流れ(着想),苦労話(再現性の問題)など,普段の発表ではあまり触れることのない生々しい現場の声を届けたつもりです.講演は90分近くに及び,長丁場ではありましたが,考え方など伝えたいことは伝えたつもりです.南方研の学生さんに何かしら伝わったでしょうか?
講演会のあとは,学内のレストランに場所を移し,南方研スタッフ,学内の若手研究者,南方研の学生さんと交流を深めました.南方研の学生さんは積極的に私に話しかけてくれて,私も大きな刺激を受けることができました.うちの研究室の学生では積極的に講師の先生に話しかけるのは無理でしょうね.
その後,教員の方々と場所を移して懇親会を開催していただきました.学生に聞かせられないアカデミック界の生々しいいろんな話を伺うことができ,大変盛り上がりました(写真がない),
こういう機会もいいですね.ありがとうございました.
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2018.10.17 [:ja]OLとCL2報[:]
[:ja]前回の更新からだいぶ日が経ってしまいました.いけませんね.書くネタが全くないわけではないが,書くのが面倒といった感じです.
ところで最近OLとCLに論文が掲載されました.
まず1つ目は,アズラクトンの動的速度論的光学分割に関する報告です.
Dynamic Kinetic Resolution of Azlactones by a Chiral N,N-Dimethyl-4-aminopyridine Derivative Containing a 1,1′-Binaphthyl Unit: Importance of Amide Groups
Mandai, H.; Hongo, K.; Fujiwara, T.; Fujii, K.; Mitsudo, K.; Suga, S. Org. Lett. 2018, 20, 4811.
ビナフチル骨格をもつ求核触媒がアズラクトンの動的速度論的光学分割を効果的に促進して,非天然アミノ酸誘導体を効率的に合成できるというものです.触媒のビナフチル骨格の3,3位にアミドをもつものが最も触媒活性が高く,エナンチオ選択性も高いといった具合です.今まではtert-alcoholsをもつ触媒を使った反応ばかりでしたが,アミドをもつ触媒の反応の初めての報告になります.Synfactにもハイライトされました.
2つ目は,1,3-ジオールの非対称化反応に関する報告です.
Enantioselective Desymmetrization of 1,3-Diols by a Chiral DMAP Derivative
Mandai, H.; Ashihara, K.; Mitsudo, K.; Suga, S. Chem. Lett. 2018, 47, 1360.2つの第一級ヒドロキシ基をもつ1,3-ジオールをエナンチオ選択的にモノアシル化できるという反応です.モノアシル化体はまだ反応性の高いヒドロキシ基を持っているのですが,本触媒をつかうと基質一般性は広くないですが化学選択的にアシル化できます(基質によっては,モノアシル化体の溶解度が高いため,ジアシル化まで進んでしまう).1,3-ジオールのモノアシル化体自体がほとんど新規化合物で,当初どのような性質をもつ化合物かよく分かりませんでしたが,ラセミ化しやすい化合物ということがわかりました(SIに載せています).[:]